講師の想い

磯 恵美 講師

ピアノを教えていて、日々子供の持つ能力に驚かされています。最初は難しそうに左右10本の指を少しずつ動かしていますが、しばらくすると自由自在に指を操って鍵盤の上で遊び始めます。

普段の生活の中で、ピアノの演奏ほど複雑に頭と指と心を使ったり動かしたりする事があるでしょうか?魔法でも使わないととても人間には出来ない業みたいですが、子供たちはそれを難なくこなしてしまいます。
又、子供たちの感受性は非常に豊かで、何か一つのことを伝えると、沢山のイメージが彼らの頭の中に駆け巡ります。だからこそ、子供の能力を大切にしなければならないと強く思います。

私はレッスンで、『考える事』を特に大切にしています。もちろん、「ピアノが楽しい!」「音楽が大好き!」と思ってもらえる事が一番です。しかし、ただ楽しいだけでは、上達しません。
これまでに何百人もの子供達と接してきて、素晴らしい能力があるはずの子供達なのに、自分の事をうまく表現出来なくてコミュニケーションがとれなかったり、自主的ではなく人から言われたことしか出来ない生徒達も沢山いました。しかし、どんな子供にも意志はあり、出来ない事は絶対ありません。体験や経験がないだけです。音楽がいかに素晴らしいかを伝えると共に、子供達の心に眠っている感情を引き出せれるよう努めるのが指導者の役目だと思っています。

音楽の事、作曲家の事、自分の事などを考えるのはとても大切な事だと思います。
「こう弾いた方がいい」また「こう弾きなさい」などと言ってしまうことは、先生も生徒もお互い楽でレッスンも一見スムーズに進むかも知れませんが、様々な問題にきちんと向き合うことなく、次のレッスンに来るまでの一週間ただ言われた事だけしか出来なければ、子供たちの持つ素晴らしい能力が育たず、とても勿体無いと思います。

ピアノは家での練習が欠かせません。そしていつも自分でどのようにするべきかを考えていかなければなりません。それぞれその子供にとっての課題があり、解決にはどれぐらい時間が掛かるかわかりませんが、しかし、一人一人が幼少の時から、自分自身と向き合い、自分自身の力で一歩踏み出すことにより、その後の人生が大きく変わると思います。
先生や、親御さんから自立して、生徒自身が自分の力でどうしたら良いのかを考え、音楽に向かえるよう手助けできればと思っています。

イデア・ミュージック・アカデミーでは、勉強会という行事があります。演奏者がただ演奏をし、拍手しておしまいというおさらい会とは違い、演奏を聴いた人たちが、演奏はどうだったか意見交換をします。又演奏者は演奏を試すだけではなく、人にどう伝わるか勉強する場です。それは、小さい子供達からプロのピアニストまで一緒になり、レベルや年齢に関係なく行っています。
発表会でも、自分の出番が終われば帰るのではなく、演奏者全員で聴き勉強し合います。それは決して堅苦しいものではなく、一つのものに皆で向き合い切磋琢磨してお互いを思いやりながら高め合うことができます。普段のレッスンだけでなく、勉強会や発表会など当アカデミーでは考える力を養うことが出来ます。

ますます便利になっていく世の中だからこそ、子供達には考える力を音楽を通して身につけていってもらえたら嬉しく思います。そして、音楽を勉強して良かったと思って頂けるよう、一緒に音楽に向かえたら幸せに思います。