img_hino  日野あゆみ 講師

「ピアノが弾けるようになる」ことは、音楽を愛する多くの人たちの憧れであり、夢だと思います。ピアノを始めるきっかけは人それぞれですが、子供たちは、「ピアノを習わせてあげたい」という保護者の方々の暖かな理解の下で、ピアノに出会います。

私はピアノ指導に携わって8年になりますが、子供たちの指導にあたる際、常に願っていることがあります。それは,“音楽との出会いによって、人生をより豊かなものにしていって欲しい”ということです。ドレミを覚え、自分で楽譜が読めるようになった子供たちには、沢山の音楽作品との出会いが待っています。

偉大な作曲家たちがその生涯を懸けて創り上げた作品には、多くのメッセージが込められており、その調べは彼らの生きた遥かなる時を超えて、私たちの心にも深く響いてきます。私はピアノと出会えた多くの子供たちに、そういった素晴らしい作品を学ぶ機会を持って欲しいと思っています。

そのためにも、導入の時期から一人一人の感性を大切にし、音楽の美しさを感じる耳と心を育てる丁寧な指導をしていきたいです。音楽を学び、そこに広がる厳しくも美しい世界に触れることによって心を豊かにし、生きていく上でのどんな困難にもめげない強さや優しさを培って欲しいと思います。

私のこの願いは、イデア・ミュージック・アカデミーの基本理念にも通じるところがあります。この度、イデア・ミュージック・アカデミー〈東海教室〉の代表としてピアノの指導をさせて頂くことになり、ここでのレッスンを通して今まで以上に“音楽の世界に触れる真の歓び”を感じて頂ける指導を心がけたいと思っています。

近年、日本のピアノ教育の在り方は、音楽を学ぶ本来の目的とはかけ離れ、まるで競争に勝つことが全てのようになっているのではないかと思える時があります。とくに、小さな子供が受けられるコンクールが増えてきている中、そこでの賞や評価を求めすぎる指導者が多くなってきていることに対しては、大きな疑問と不安を感じています。

本来、音楽を学ぶ目的は、作品を通して作曲家の繊細な心に触れるところにあります。しかし、コンクールでの賞や周りからの評価を得ることだけを目標として指導された子供たちは、指導者や親に褒められる演奏こそがよい演奏、よい音楽だと思うようになります。

指導者から「こう弾きなさい」、「この通りに弾きなさい」、また「こうしたほうがコンクール向きなのよ」と表面的に教えられ、本人の意志や表現したいものがどこにも聴えてこないような演奏をする子供も増えていますが、私はそういう演奏に出会う度に悲しくなります。そして彼らにとって音楽とは一体何なのだろうか、と考えてしまう時があります。

音楽は人との競い合いではありません。たとえどんなに驚くほど上手にピアノを演奏したとしても、そこに作曲者の想いを感じる本人の心が伴っていなければ、それはもう音楽とは言えないのではないでしょうか。

「ピアノが弾けるようになる」ことは、美しい音楽作品への扉を開くことにも繋がります。音楽が私たち人間に与えてくれる力は本当に無限で、美しい作品との出会いは人生における深い感動をもたらしてくれます。私たちは音楽によって救われ、慰められ、生きる希望を与えられる存在です。

未来ある子供たちのために、イデア・ミュージック・アカデミーの教育理念である「音楽を通じて正しい価値観と美意識を身につけ、より豊かな人生を!」という言葉をいつも心にとめ、音楽の素晴らしさを精一杯伝えられる指導をしていきたいと思っています。